[用語集]ベンゼン|ベンゼンは規制物質?水道水に含まれる可能性はあるかを解説

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「ベンゼンはどんな物質なの?」

「ベンゼンには毒性があるの?」

「ベンゼンを除去する方法とは?」

など、ベンゼンについて心配な方がいらっしゃるはずです。

日本では有害物質を水道水質基準により規制しており、常に一定以上の水質を保っています。ベンゼンは水道水質基準によって規制されている化合物です。

ベンゼンは一体どのような理由で規制されているのでしょうか?

今回はベンゼンの特徴について、ベンゼンの毒性、水道水からベンゼンを除去する方法はあるのか、順に解説します。


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鉛は釣り具やバッテリーなど
身のまわりで使用されている

  

溶解性鉛の元となる鉛は身近な化合物です。バッテリーや釣り具、またスズとの合金は「はんだ」と言われ溶接作業で頻繁に使用されています。安価で加工しやすい鉛は汎用性が高い金属と言えるでしょう。

かつては水道管やペンキなどに広く使われていたのですが、水中に溶けだした溶解性鉛は人体や環境に悪影響を及ぼすことが問題視され、だんだんと使われなくなりました。


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ベンゼンは
さまざまな毒性を持つ

  

ベンゼンは毒性の強い化合物であり、特に呼吸器への影響が強いことが分かっています。

・呼吸器毒性
・発がん性
・造血系の障害

ここでは特に毒性が強いとされる、上記3つについて紹介していきます。

 

強い呼吸器毒性

ベンゼンは呼吸毒性が強く、GHS分類で吸引性呼吸器有毒性が区分1(飲み込み、気道に侵入すると生命に危険のおそれ)と分類されています。「この液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。」(ICSC(J)(2003))との記載があることから、呼吸器への有害性が伺えます。

GHSは、化学品の危険性を統一された基準に基づいて分類し、分かりやすい表示方法で情報を伝える国際的なシステムです。

 

発がん性

ベンゼンはあらゆる検査機関で発がん性を持つことも報告されています。

GHSでは発がん性はもっともランクの高い区分1A(発がんのおそれあり)に位置付けられています。国際的なGHSという指標で一番危険性が高いランクに分類されているのは、発がん性をもつ可能性が高いということです。

もうひとつの例として、IARC(国際がん研究機関)があります。

IARCは、世界保健機関(WHO)の一機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動している機関です。主に、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類しています。

IARCにおいて、ベンゼンはヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある場合に適用されるグループ1に指定されています。これは、「暴露を受けたヒトにおいて作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」があり、かつ実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある場合に分類されるカテゴリです。

 

造血系の障害

ベンゼンに継続的にさらされると、白血病などの骨髄系の疾患にかかるリスクが上がり、GHS分類は造血系障害において区分1(危険)とされています。これは実際にベンゼンを扱う職業の白血病有病率が優位に高く疫学的に信用できるからです。

ある研究では、通常の想定に比べて死亡率が白血病で3.3倍、多発性骨髄腫で4.0倍だったとしています。これらの結果からベンゼンは白血病などの造血系障害による疾患のリスクを高める確率が高いと言えます。


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ベンゼンは
多くの法律で厳しく規制されいてる

  

ベンゼンの毒性について知ると、とても不安になりませんか?しかし現在ではベンゼンを厳しく取り締まる法律が多数存在しています。実際に以下の法律で規制されています。

 

・化学物質審査規制法
・化学物質排出把握管理促進法
・環境基本法
・大気汚染防止法
・水質汚濁防止法
・下水道法
・土壌汚染対策法
・廃棄物処理法
・水道法
・海洋汚染防止法
・労働安全衛生法
・消防法

   

これらの法律では、鉛の排出や放出を制限したり、水質基準や環境基準を設定したりしています。また水道事業者や給水装置の所有者に対して、鉛給水管の廃止や鉛濃度の測定などを義務付けています。


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水道水中のベンゼンが
基準値を超えて検出される可能性は低い

 

ベンゼンは厳しく規制されていますが、水道水はどうなのでしょうか?

結論を言うと、浄水にベンゼンが水質基準値を超えて含まれる可能性は限りなく低いです。

水道水質データベースによると、直近の2020年度に行われた浄水の水質データで、ベンゼンは全ての地点で基準の10%未満でした。

2000年に行われたデータまでさかのぼっても「40%超過50%以下」の地点が1件のみ。水

道水中にベンゼンが含まれる可能性は限りなく低いと言えます。もちろん基準値を超えて検出された場合は除去処理(エアレーションまたは、活性炭オゾンに加えて膜ろ過)がなされます。

   


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水道水中のベンゼンは
浄水器の種類によっては除去が可能である[

     

水道水は安全とはいえ、ベンゼンは工業的に利用されている成分です。水道水に混入する可能性はゼロではありません。

心配な場合は、浄水器や浄水型ウェーターサーバーを使えば除去できます。

ベンゼンを除去対象物質に含まない浄水器を使用した場合には、非常に低い確率で水道水からベンゼンを摂取してしまう可能性がありますので、機種を選ぶ際は、必ず除去対象物質にベンゼンが含まれているのを確認しましょう。

(summary)

まとめ

今回はベンゼンについて説明しました。

・ベンゼンは様々な工業用途で使用されている
・発がん性に加え呼吸器、造血系への毒性がある
・高性能の浄水器(浄水型ウォーターサーバー)で除去が可能

ベンゼンは非常に毒性が高い物質です。

日本の水道水は非常に厳しい基準をクリアしているので、心配しすぎる必要はありませんが、中には不安を感じる人もいるでしょう。

もし本当に心配なら、除去対象物質にベンゼンを含む浄水器もしくは浄水型ウォーターサーバーを導入することをおすすめします。これは家庭で最も簡単にベンゼンを取り除く方法といえるでしょう。