日本では水道水の安全性を確保するために、
さまざまな物質について基準値や目標値を設けています。
CATは水道水質管理目標設定項目に指定されている化合物です。
CATはどうして水道水質管理目標設定項目に指定されているのでしょうか?
今回はCATの特徴について、CATの毒性、
CATを水道水から除去する方法はあるのかを順に解説します。
この記事を読めばCATについての理解が深まります。

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CATはトリアジン系の除草剤
CATは別名「シマジン」と言い、トリアジン系の除草剤です。
トリアジン系の除草剤とは、炭素が三角形に並んだトリアジンという構造を持つ化合物で、雑草の光合成を妨げて枯らす作用があります。
CATは雑草が生える前に土壌に散布することで、長期間にわたり雑草の発生を抑えることができます。多くの一年生雑草、特にイネ科雑草に対して効果があります。
また、使用する日の天候に注意が必要であり、雨天時は基本使用を避けるようにします。これはCATが農薬取締法により水質汚濁農薬に指定されていることに由来します。
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CATは人体に毒性を持つ可能性がある
CATは毒性のある化合物であり、ヒトに対しては発がん性や内分泌かく乱作用が疑われています。
発がん性が疑われている
CATは国際がん研究機関(IARC)で発がん性を評価されています。ラットやマウスに対して経口投与したところ、肝臓や甲状腺、乳腺などで腫瘍の発生率が上昇しました。しかし、動物種や投与量によって結果にばらつきがありました。例えばマウスでは腫瘍の増加がありませんでした。
またヒトについてはCATの発がん性に関する情報はありません。したがって、IARCはCATについて「発がん性が分類できない」としています。しかし、動物実験で発がん性の根拠が見られたことから、発がん性を持つ可能性があると言えます。
CATは内分泌かく乱物質である
CATは内分泌かく乱物質と呼ばれる物質の一種です。内分泌かく乱物質とは、自然界に存在するホルモンと同じように、生体内のホルモンバランスを乱す作用を持つ化学物質のことです。
関係すると思われるデータとしては、生殖毒性試験では妊娠したラットには影響がなかったが、ウサギには胎児への影響がありました。また雌ラットへの投与では、性周期異常や膣開口の遅延、雄ラットでは性成熟期の変化が報告されています。これらの研究結果より、動物実験ではありますが、CATは内分泌かく乱物質としての特性を持つ可能性があります。
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CATは複数の法律で規制されている
CATは土壌や水質汚染のリスクから複数の法律で規制されている化合物です。
具体例としては下記の通りです。
・農薬取締法
・水道法
・水質汚濁防止法
・土壌汚染対策法
・労働安全衛生法
特に農薬取締法では水質汚濁性農薬に指定され、CATの使用には都道府県知事の許可が必要です。つまりCATは土壌や水質汚染への懸念がある化合物ということになります。
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CATは水道水中に含まれる可能性がある
CATは水道水中に含まれることがあります。理由としては土壌に沁み込んで地下水の汚染や河川に流れ込むことがあるためです。
水道水質管理目標設定項目によると、CATは1L当たり0.003mg以下と規定されています。これは水道水の中にほんのわずかな量しか含まれていないことを意味します。
過去の水道統計を参考にすると、浄水において基準の10%を超えて検出されたのは5508件中わずか1件。基準値を超えて検出されて処理対象となったのは7年間で一度もありませんでした。
CATの水道水に含まれる可能性がごくわずかにありますが、ヒトに対する毒性も強くないので、気にしすぎる必要はないと言えます。
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水道水中のCATは
浄水器の種類によっては除去が可能である
水道水は安全とはいえ、CATは農薬として広く使用されています。なので水道水に混入する可能性はもちろんあります。日本のJIS S3201という工業規格では、浄水器に必要な浄水能力を13項目指定しており、CATはそれに含まれているので、浄水器(浄水型ウォーターサーバー)を使えば、CATを取り除いてくれる機種が多いですが、機種によっては限られた物質しか除去できない機種もありますので、選ぶ前にCATが除去項目に含まれているかチェックするようにしましょう。
高機能の浄水器や浄水型ウォーターサーバーを通った水道水は安全に飲めるようになりますが、浄水は殺菌成分の塩素が取り除かれてしまうので、細菌が増加しやすくなりますので、早めに飲み切りましょう。
カートリッジの交換も忘れずに行ってください。期限切れのカートリッジを使い続けると浄水機能が落ちているばかりか、雑菌が逆に増えてしまうことがあります。浄水型ウォーターサーバーの機種の大半が、交換のカートリッジを交換月に自動で配送してくれますので、忘れずに交換できます。
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まとめ

今回はCATについて説明しました。
- CATはトリアジン系の除草剤である
- 発がん性や内分泌攪乱作用などの毒性が疑われている
- 高性能の浄水器(浄水器型ウォーターサーバー)で除去が可能
CATは人体に強い毒性を持つ可能性は低いです。
また浄水ではほとんど検出されていないので、心配しすぎる必要はありませんが、中には不安を感じる人もいるでしょう。
もし本当に心配なら、除去対象物質にCATが含まれている浄水器もしくは浄水型ウォーターサーバーを導入することをおすすめします。