2-MIBとは2-メチルイソボルネオールという化学物質の略で、
GM(ジェオスミン)と同じく、カビ臭や泥臭の原因となります。
水道水にカビ臭を感じる場合は、もしかしたらこの2-MIBが原因かもしれません。
この記事では2-MIBについての解説、水道水に含まれる可能性、
そして身体のへの影響について解説します。

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2-MIBはカビ臭の原因物質
水道水がカビや墨汁臭く感じることはありませんか?その原因のひとつが2-MIBという化学物質です。
2-MIBは藍藻類という植物プランクトンが生成します。藍藻類は水温が高くなると水源のダムや湖沼で増殖し、水道水に混入することがあります。2-MIBは人体に毒性はありませんが、非常に微量でもカビ臭を感じる原因となります。
カビ臭をつくりだす植物プランクトンの仲間としては
・アナベナ
・オシラトリア
・フォルミディウム
などが知られています。
水温が上がって、プランクトンが繁殖すると2-MIBなどのカビ臭の原因物質が増えるというわけです。
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2-MIBには毒性は認められていない
2007年に島根県の東部にある宍道湖の湖水でカビ臭が発生し、その際に検出したカビ臭原因物質GM(ジェオスミン)と2-MIBについて細胞毒性評価が行われました。 その結果、カビ臭の原因物質であるGMおよび2-MIBは、10~3,000ng/Lの濃度範囲で細胞毒性を示しませんでした。
このように、カビ臭の原因である2-MIBの身体への毒性は他にも特に報告されていません。水道水に含まれていても健康に問題はないと言えます。
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2-MIBはカビ臭のため規制されている
2-MIBは身体への毒性はありませんが、2-MIBは水質基準の項目に指定されています。
水道水には、水道法により51の項目とその基準値が設定されています。基準項目は「健康に関する項目」と「水道水が有すべき性状に関する項目」の2つに分けられています。
「健康に関する項目」は、生涯にわたり連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水準をもととし、安全性を十分考慮して基準値を設定したものです。一方、「水道水が有すべき性状に関する項目」は基準値を超えた場合、利用上、機能上の障害(色、にごり、におい)を生ずるため基準値が設定されています。つまり毒性のない2-MIBは「水道水が有すべき性状に関する項目」に該当します。
植物プランクトンが生成した2-MIBは、微量でもカビ臭さや悪臭を放ち、水1Lにわずか1億分の1g程度含まれただけで、カビ臭い臭味をつけると言われていて、水道水の味や匂いに影響します。
このように、少ない濃度でもカビ臭がすることから、2-MIBは水道法で濃度を0.00001mg/L以下とする厳しい基準が定められています。これは、水道水を生活用水として利用するのに支障がない、あるいは水道施設に対して障害を生ずるおそれのない水準です。
水源に藍藻類が大量に発生した場合には、通常の浄水処理では完全に臭いが除去できない場合があります。そのような場合は、粉末活性炭を利用した特別な浄水処理にかけて臭いを除去し、水道水の水質基準を満たすように処理しています。
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家庭での2-MIBの除去方法について
身体に害はないとは言え、カビ臭がする水を飲みたい人はいないですよね。家庭で2-MIBを除去するにはどうすればいいのでしょうか?
沸騰させる
水道水を沸騰させることで、2-MIBは揮発して臭いが低減されます。ただし沸騰させる際には蓋をしないでください。蓋をすると、揮発した2-MIBが再び水に溶け込んでしまう可能性があります。
また、沸騰させた水は早めに使い切るようにしましょう。沸騰させると、殺菌のために添加されている塩素も除去されてしまうため、長期保存すると細菌が繁殖する恐れがあります。
浄水器や浄水型ウェーターサーバーを使用する
もう1つの方法は、浄水器を使うことです。浄水器の中には、活性炭を用いたものがあります。活性炭は多孔質の物質で表面積が非常に広く、2-MIBなどの有機物質を吸着して除去する効果があります。活性炭を用いた浄水器は市販されており取り付けも簡単です。
ただし、浄水カートリッジは定期的に交換する必要があります。交換時期を過ぎてもそのまま使い続けると、吸着能力が低下したり、細菌が繁殖したりする恐れがあります。
また浄水器型ウェーターサーバーもおすすめです。水道水から2-MIBを除去しながら、冷水や温水をすぐに飲むことができ、便利です。
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まとめ

今回は2-MIBについて説明しました。
・2-MIBは藍藻類が生成するカビ臭の原因物質である
・2-MIBは身体に毒性はないが、水道水の品質を低下させる
・水道法では2-MIBの濃度に厳しい基準がある
・家庭で2-MIBを除去する方法として、沸騰させる方法と浄水器を使う方法がある
家庭で2-MIBを除去する方法として、沸騰させる方法と浄水器を使う方法を紹介しました。水道水をわざわざ沸騰させるには時間や手間がかかりますが、浄水器や浄水型ウォーターサーバーならば、簡単に除去することができますので便利です。
水道水に含まれる2-MIBが気になった方は、導入を検討してみてください。