近年、PFAS(ピーファス)という言葉をニュースなどで耳にすることが多くなりました。
PFASとは何かよくわからず、どのような問題があるのか気になるのではないでしょうか。
この記事では、PFASとは何か解説しながら、PFOSとPFOAの体への影響、水道水に関しても紹介します。

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PFAS(有機フッ素化合物)とは
PFASとは、炭素とフッ素の原子を持つ化学物質(ペルフルオロアルキル化合物またはポリフルオロアルキル化合物)の総称です。
自然のものではなく、人工的につくられた物質です。
PFASは多くの種類があり、その数は約10,000種類以上あるといわれています。
PFASの特徴は、水や油をはじく、燃えにくい、電気を通さない、湿りにくい、光を通しやすいなどがあります。
これらの特徴から、生活に欠かせないものとして、PFASは私たちの周りに多く存在してきました。
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PFASが使われているところ
PFAS は1940年代ごろから80年以上にわたって、身近なものから工業分野や医療分野まで、さまざまな分野に活用されています。
PFASが使われているところを紹介します。
・ 衣類
・ 調理器具
・ 食品のパッケージ
・ 化粧品
・ 消火剤
・ 乗り物(自動車・航空機・鉄道)
・ 建築
・ 医療用品
上記からもわかるように、PFASはさまざま分野で活用されており、私たちに欠かせないものとも言えます。
しかし、近年PFASの一種である「PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)」、「PFOA(パーフルオロオクタン酸)」、「PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)」は、体と環境へ悪い影響があると議論されています。
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PFASの人への影響
PFOS・PFOA・PFHxSは、安定性が高いというメリットがある反面、体の中に入ると蓄積しやすく、空気中ではほとんど分解されません。
どのくらいの量が体内に入ると悪影響を及ぼすのか、発がん性や毒性など、結論はまだ出ておらず研究段階です。
各物質が体に与える影響を紹介します。
PFOS
PFOSは、動物実験では暴露した動物の胎児に影響を及ぼすことや、消化管と肝臓への影響、皮膚・目の刺激といった報告がされています。
PFOA
PFOAもPFOSと同じように、動物実験において、暴露した動物の胎児に影響を及ぼすといわれています。
また、以下のような体への症状があると報告されています。
・ 皮膚につくと赤みや痛み
・ 目に入るとかすみ目
・ 吸い込むと咳や喉の痛み
・ 食べると腹痛、吐き気、嘔吐
PFHxS
PFHxSは、動物実験では血液学的・甲状腺・肝臓・神経伝達系への影響などがあったと報告されています。
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PFASが体内に入る経路
PEFSは多くの分野で利用されており、空気中で分解されず移動することから、さまざまな経路で体内に入ります。
以下の経路によって体内に入るといわれています。
・ 食品
・ 飲料水
・ 大気
・ 土壌
・ PFASを用いた製品から出るほこりや繊維を吸い込む
・ PFASを用いた製品の使用
・ PFASを含んだ材料でパッケージされた製品の使用
・ PFASに接触する機会が多い仕事
これほど多くの経路から体内に取り込むため、不安に思われるかもしれません。
条約や日本含めた各国の政策では、PFASの有害物質であるPFOS・PFOAについて定めています。
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PFASへの取り組み
体に悪い影響を及ぼすといわれるPFOS・PFOAを不必要に体内に取り込まないよう、条約や法律にて定められています。
また毎日使っている水道水にも基準が設けられています。
ここでは、PFOS・PFOA・PFHxSの条約と法律、水道水の基準について紹介します。
条約と法律
PFOSは平成21年にストックホルム条約にて、製造・使用・輸出入が制限されています。
日本では、平成22年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律にて、第一種特定化学物質に指定され、ある特定の用途以外での製造・使用・輸入が禁止されています。
PFOAもPFOSと同じような経過をたどり、令和元年ストックホルム条約にて、製造・使用、輸出入の原則禁止とされました。
日本では、令和3年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律にて、特定の用途を除き廃止することが決定されています。
PFHxSはストックホルム条約にて定められてはいませんが、今後制定されると考えられています。
日本では、令和3年に「要検討項目」として位置づけられましたが、目標値は設定されていません。
水道水
日本では、水道水に含まれるPFOS とPFOAの量は、平成21年に要検討項目に設定されていましたが、当時は目標値を設定できていませんでした。
近年、海外ではPFOSとPFOAの目標値が設定され、日本の水道水からも検出されていたことから、令和2年4月1日に暫定目標値が設定されました。
日本の暫定目標値は、PFOSとPFOAの合計で50ng/L以下です。
(※1ngは1gの10億分の1)
この値は、体重50kgの人が1日2Lの水を飲んでも健康に害がないとされる値です。
またPFOSとPFOAは、水質管理目標設定項目に位置づけられました。
WHOや海外の目標値
WHOと海外のPFOSとPFOAの目標値を紹介します。
・ WHO(2022年の暫定ガイドライン値)
PFOS100ng/L以下、PFOA 100ng/L以下 、総PFASは500ng/L 以下。
・ アメリカ(2016年)
2016年の目標はPFOSとPFOAの合計70ng/L以下とされていましたが、2023年にPFOS、PFOA それぞれ4ng/L以下と提案されています。
・ オーストラリア(2017年)
PFOSとPFHxSの合計70ng/L以下、PFOAは560ng/L以下。
・ カナダ(2018年)
PFOSは600ng/L以下、PFOAは200ng/L以下。
WHOと各国の目標値からわかるように、日本の暫定目標値(PFOSとPFOAの合計で50ng/L)はアメリカほどではないですが、厳しい基準であるといえます。
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水道水は飲んでも大丈夫?
日本の水道水はPFOSとPFOA の目標値が設定されており、安全性に問題はありません。
しかし「PFASをなるべく取り込みたくない」と考える人もいるのではないでしょうか。
PFASを避けて水を飲む方法は、浄水器やウォーターサーバーの利用があります。
浄水器
浄水器は、ご家庭の水道水をろ過できる製品です。
浄水器の種類は、蛇口直結型やポット型、据え置き型、ビルトイン型などさまざまです。
浄水器を選ぶ際は、PFASが浄水器の除去項目にあるかを忘れずチェックしましょう。
また浄水器は定期的なフィルター交換が必要です。
浄水型ウォーターサーバー
浄水型ウォーターサーバーは、水道水をタンクへ注ぐことで、不純物がろ過された水が飲めるウォーターサーバーです。
浄水器と異なる点は、冷水・温水(メーカーによっては常温水も)がすぐに注げることです。
浄水型ウォーターサーバーも浄水器と同じように、PFASが除去項目にあるのかチェックが必要です。
また定期的なフィルター交換も必要です。
水ボトル型のウォーターサーバー
水ボトル型のウォーターサーバーは、自然から汲み上げた天然水をボトルへ充填し、自宅まで宅配するウォーターサーバーです。
天然水だから安全というわけではなく、定期的に水質検査を行っているのか、PFASが含まれていない水ボトルを使用しているかはチェックしましょう。
浄水器や浄水型ウォーターサーバーと異なる点は、適度なミネラルを含んでいますので、口あたりがやわらかく、おいしいことです。
また冷水・温水(メーカーによっては常温水も)が注げるため、温かい飲み物がすぐにつくれるメリットもあります。
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ウォーターサーバーで安心して水を飲もう

PFASは有機フッ素化合物の総称で、PFASの種類の中には体へ悪影響を及ぼすものがあります。
近年PFASの有害性が注目されており、私たちはさまざまなシーンで体の中に取り込んでいます。
ただし、今のところPFASをどれくらい摂取すると、どのような症状が出るかまでは明確にはなっていません。
日本では水道水に含まれるPFOSとPFOAの目標値が設定されており、安全性の高い水道水であるといえます。
しかし、「PFASをなるべく取りたくない」、「水道水は心配」と考える人もいるでしょう。
そのような人には、ウォーターサーバーがおすすめです。
PFASに配慮されているウォーターサーバーであれば、安心して水分補給ができます。
また冷水・温水もすぐに注げますので、温かい飲み物をつくるときや料理のときなど、日々の暮らしで大活躍します。
安心安全な水を使いたい方は、ウォーターサーバーを利用がおすすめです。
<参考サイト>
水道水質管理の最近の動向について|厚生労働省 医薬・生活衛生局