私たちが普段使っている水道水には、遊離残留塩素が含まれています。
「遊離残留塩素ってなに?」「残留塩素とはどう違うの?」と疑問に思うことはないでしょうか。
この記事では、遊離残留塩素とは何かを分かりやすく解説します。

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遊離残留塩素って何?
まず遊離残留塩素とは何かを紹介します。
水道水やプールの水には、私たちが使う前に塩素が加えられます。
塩素が加えられる理由は、もともと私たちが使う水は河川や湖からくみ上げており、その中には細菌や雑菌が多くいるからです。
細菌や雑菌が多くいる状態の水を使うと、私たちの身体に影響を及ぼすため、塩素で殺菌・消毒されます。
その塩素が少しだけ残ってしまいます。それが「遊離残留塩素」です。
この遊離残留塩素がどのくらい残っているか計測することで、水にどのくらい殺菌力があるのか分かります。
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残留塩素は、
遊離残留塩素と結合残留塩素の2種類
残留塩素には、遊離残留塩素と結合残留塩素の2種類があります。
ほとんどの場合、残留塩素は遊離残留塩素のことを指しています。
遊離残留塩素は他の物質と結合せず、自由に水の中を漂っており、次亜塩素酸や次亜塩素ナトリウムとして存在しています。
結合残留塩素はアンモニアと結合しており、モノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンとして存在しています。
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遊離残留塩素と
結合残留塩素があるところ
私たちの身近にある水道水やプールにある残留塩素は、遊離残留塩素を指しています。
遊離残留塩素は殺菌力と消毒力が高いのが特徴です。
結合残中塩素の殺菌力と消毒力は、遊離残留塩素と比べると低いです。
しかし、結合残留塩素はじわじわ消毒効果を発揮するため、下記のメリットがあります。
・濃度が安定する
・ぬめりに有効、
・レジオネラ菌やアメーバにも有効
・皮膚への刺激性が低い
上記のことから、近年では銭湯の浴槽水の管理によいと着目されています。
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水道水の遊離残留塩素の量は
どのくらいか
水道水に含まれる遊離残留塩素の基準値は水道法で決まっており、0.1mg/L以上です。
しかし遊離残留塩素が多く含まれすぎると、水道水特有のニオイであるカルキ臭がします。
このカルキ臭が強いと水道水がおいしくなくなるため、水道水は「味が苦手」「飲みづらい」と感じる方が少なくありません。
このようなことから、水のおいしさをなるべく損なわないように、遊離残留塩素の目標値は1mg/L以下とされています。
また地域によっては、遊離残留塩素の目標値をさらに低く設定しているところがあるため、水道水のおいしさに違いがあります。
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遊離残留塩素が
高濃度になると起きること
遊離残留塩素は、高濃度になると私たちの目や皮膚、髪の毛に刺激を与えることが分かっています。
私たちの身近にあるプールの遊離残留塩素は、0.4mg/L以上と定められており水道水よりも高いです。
「プールに入ると刺激を感じた」または「プールからあがったら刺激を感じた」という経験はないでしょうか。
ゴーグルを付けずにプールに入ると目に刺激を感じたり、敏感肌の人はプールの後に肌荒れを起こしたりすることがあります。また、髪の毛の表面にあるキューティクルと呼ばれるタンパク質が変質し、キューティクルが剥がれ、髪の毛の滑らかさを失うことがあります。
しかし、プールは人の汗などで雑菌が繁殖しやすいため、水道水よりも高い濃度の消毒が必要なのです。
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遊離残留塩素は
トリハロメタンを生成することも
遊離残留塩素は、水道水の中にわずかに含まれる有機物成分と反応してトリハロメタンを生成することがあります。トリハロメタンは発がん性のある物質であることが分かっています。しかし、水道水中に含まれるトリハロメタンは、人の健康に影響が生じないほど低濃度なので、水道水中に含まれるとトリハロメタンを摂取したとしても健康上問題はありません。
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水道水の遊離残留塩素は
煮沸で取り除ける
水道水に含まれている遊離残留塩素は煮沸で取り除くことができ、カルキ臭がなくなりおいしい水になります。
そして、10分以上煮沸すると、トリハロメタンも取り除くことができます。
トリハロメタンは水の温度が上がると増える性質をもっており、短時間の煮沸だと逆効果になってしまいますので、10分以上の煮沸が重要です。
煮沸する際は、水道水が沸騰したらやかんや鍋のフタを取りましょう。
煮沸した水道水は早めに飲み切ろう
煮沸した水は早めに飲み切るようにしましょう。
塩素が含まれていない水は、雑菌や細菌が繁殖しやすくなるため、衛生上長時間の保存はできません。また部屋の温度が高くなると、さらに雑菌や細菌が繁殖してしまいます。
煮沸した後にすべて水を飲み切らない場合は、冷蔵庫へ保存し、その日のうちに飲み切るようにしましょう。
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浄水器や浄水型ウォーターサーバーでも
遊離残留塩素を取り除ける
水道に取り付ける浄水器や水道水を注いでろ過する浄水型ウォーターサーバーでも有機残留塩素は取り除けます。
また浄水器や浄水型ウォーターサーバーの種類によっては、トリハロメタンを取り除くこともできます。
水道水がおいしく、そして健康にも気を遣えるのは嬉しいですよね。
ただし浄水器や浄水型ウォーターサーバーは定期的なフィルター交換が重要です。ずっとフィルター交換をせずに使用していると、遊離残留塩素やトリハロメタンが取り除けなくなります。
それぞれの製品が定めたフィルター交換時期を守って、使用しましょう。
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まとめ

水道水の塩素は、水に含まれる細菌や雑菌を殺菌・消毒するために必要なものです。
そして塩素は水の中ですべて使われず少しだけ残り、この残ったものを「遊離残留塩素」といいます。
遊離残留塩素がどのくらいか測定することで、水道水やプールなどの水質がキレイに保たれているのか分かります。
遊離残留塩素が高濃度だと体に影響を及ぼすことがありますが、低濃度でも影響を及ぼすためちょうど良いバランスの数値が水道法では定められています。
しかし、遊離残留塩素は水道水の風味が損なわれるため、対策として煮沸したり、浄水器や浄水型ウォーターサーバーを使うことでおいしい水が飲めます。