[用語集]トリクロロエチレン|身体への影響や水道水との関係、除去方法を詳しく紹介

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みなさんは、トリクロロエチレンという汚染物質をご存じですか?

現在は高い基準値で規制されているため、人が危険に晒されることは減りましたが、
かつてはクリーニング業界などで広く使われていた物質です。

こちらの記事では、トリクロロエチレンの基本的な性質や人の身体への影響、
水道水との関係や除去方法などを詳しく解説します。

トリクロロエチレンについて知っておきたい方、
自分が汚染された水を飲んでいないか不安な方は、
ぜひチェックしてみてください。


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トリクロロエチレンとは

  

はじめに、トリクロロエチレンとはどのような物質なのかをわかりやすく解説していきます。

浄水器を使っていたり、検討したことがある人は、名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんね。

どうして浄水器で除去する対象の物質なのかを詳しく知っていきましょう。

 

有機塩素化合物のひとつ

トリクロロエチレンとは、有機塩素化合物の一種です。

常温の状態では無色透明の液体で、燃えにくく蒸発しやすい性質を持ちます。また、甘い香りがするのも特徴的です。

1980年代頃までは、衣料のドライクリーニング用や金属機械部品の脱脂洗浄剤、医薬品、香料、ゴム、塗料、樹脂などの溶剤として使用されてきました。

 

発がん性リスクが発覚

しかし、トリクロロエチレンに発がん性があることが判明したことにより、1989年に「第二種特定化学物質」に指定されました。

トリクロロエチレンを使用していた業界では、代わりになる物質に移行していくことになりました。例えば、ドライクリーニング業界では、より環境にやさしい液体二酸化炭素やパークロロエチレンなどを使用することが増えています。


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トリクロロエチレンの
身体への影響や症状は?

  

トリクロロエチレンには発がん性があり、使用されなくなったことを説明しましたが、具体的にはどのような影響があるのかを解説していきます。

トリクロロエチレンの身体への影響は、慢性的な発がん性だけでなく、急性に発症する症状もあります。それぞれ確認してみましょう。

   

ヒトに対して発がん性がある物質に分類

トリクロロエチレンは、国際がん研究機関(IARC)によって、グループ1の「ヒトに対する発がん性が認められる」物質に指定されています。

こちらのグループに分類されたのが2014年のことで、それまではグループ2Aの「ヒトに対しておそらく発がん性がある」に分類されていました。

グループ1に上がったということは、確実に発がん性のある物質だと考えて間違いないでしょう。

   

目の刺激や頭痛、倦怠感などの急性の作用も

トリクロロエチレンは、慢性の発がん性作用がありますが、急性の症状が出ることもある物質です。

トリクロロエチレンを吸入したり曝露したりした場合、皮膚や粘膜への刺激や中枢神経抑制の作用が起こる可能性があります。

具体的には、目に刺激が走ったり頭痛や倦怠感が起こったり、認知能力や行動能力が下がったりします。

重症の場合、呼吸停止や痙攣、昏睡を引き起こす可能性もある怖い物質です。


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トリクロロエチレンの水への影響

 

トリクロロエチレンは毒性が高い物質だということで、水質基準によって水道水に入ってしまわないように規制されています。

以下、日本の水質基準について確認していきましょう。

   

水質基準で1Lあたり0.01mg以下と規定

日本で定められている水道水水質基準では、トリクロロエチレンは1Lあたり0.01mg以下に規定されていて、現在こちらがきちんと守られています。

日本の水道水は高い基準によって、トリクロロエチレンをはじめとした汚染物質が混入しないように整備されています。

トリクロロエチレンの水質基準は、2010年に審議されるまでは1Lあたり0.03mg以下に規定されていました。

そこから、0.01mgに基準が強化されたのには理由があります。

かつて0.01mgを超えた事例が年に数件発生したことと、内閣府食品安全委員会から厚生労働大臣にあてて、発がん性を指標とした場合の発がんユニットリスクを通知したことが主な理由です。

基準を強化するにあたり、厚生労働省では、2003年〜2007年の間に0.003mg/L以上のトリクロロエチレンが検出された水道事業体へのアンケート調査を行っています。

その際に水道事業体からは、現状の水源から採水地を変更したり、設備を変更したりすることで基準の遵守が可能であると回答があったとのことです。

つまり、日本の水道水は、きちんとトリクロロエチレンが混入しないように水質基準が守られているということがわかりますね。

井戸水を使用する場合は注意

上記の通り、日本の水道水は基本的に非常に安全性が高いですが、もし井戸水などの地下水を飲料水などに使用しているなら注意が必要です。

給水人数が100人よりも少ない井戸水などは、水質検査を行うことが義務付けられていないため、トリクロロエチレンが基準値よりも多く含まれる可能性もあります。

もし、水道水ではなく井戸水を使用している地域の方がいらっしゃるなら、次で紹介するトリクロロエチレンを除去する方法をチェックして、自宅で対策するようにしましょう。


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トリクロロエチレンを除去する方法

     

トリクロロエチレンは、自宅でも2つの方法で比較的簡単に除去することができます。

井戸水を使用している家庭や水道水が安全だとわかっていてもそのまま飲むのは不安に感じる人は、ぜひ以下の方法で除去するようにしましょう。

10分以上沸騰させる

1つ目は、水を沸騰させて除去する方法です。しっかりと、ある程度長い時間沸騰させないと、トリクロロエチレンを除去しきれないため、10分以上沸騰させるようにしましょう。

やかんや鍋などにトリクロロエチレンを除去したい水を入れて火にかけ、ブクブクと煮立った状態で10分以上加熱します。

トリクロロエチレンを除去するために沸騰させることで、他の汚染物質も除去することができます。

ただし、それにより消毒用に入っている塩素も除去することになるので、雑菌が繁殖しやすい状態になることを覚えておきましょう。

沸騰させた水は、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

 

活性炭使用の浄水器を使う

毎回沸騰させてトリクロロエチレンを除去するのが大変だと感じる人は、浄水器を使うのもおすすめです。

トリクロロエチレンを除去するためには、カートリッジに活性炭が使われている浄水器を選んでくださいね。

また、浄水器によって、対応している除去物質が異なるため、パッケージなどを確認してトリクロロエチレンが除去できるものかチェックしましょう。

浄水器のカートリッジには使用期限があり、期限内ならしっかりと効果を発揮してくれますが、期限切れのカートリッジは除去機能が衰えてしまうので、決められたカートリッジの交換時期を守るようにしましょう。

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トリクロロエチレンの性質を知ろう

こちらの記事では、トリクロロエチレンに発がん性があることや今の水道水では高い基準値で規制されていることを説明しました。

非常に毒性の高い物質ですが、基本的にはしっかりと規制されているのでそれほど心配はいりません。

とはいえ、井戸水などではしっかりと基準値が守られているかわからないので、不安な場合はこちらで紹介した除去方法をぜひ活用してみてくださいね。